「ポスティングに月3〜4万円かけているが、元が取れているのか分からない」「チラシを見た来店はあるが、正確な数字までは把握できていない」という方も多いのではないでしょうか。
ポスティングの費用対効果に一律の目安はなく、かけた費用とチラシ経由の獲得件数、利益などをもとに、自社の数字で採算を判断することが大切です。かけた費用に対してどれだけのリターンがあったかを把握することで、続けるべきか・改善すべきかを判断しやすくなります。
この記事では、ポスティングの費用対効果の計算方法、損益分岐点や許容CPAの求め方、費用対効果が合わない場合の改善手順について解説します。ポスティングの効果を数字で判断したい方は、ぜひ参考にしてください。
ポスティングの費用対効果とは
費用対効果とは、かけたコストに対して顧客獲得・売上・利益などの成果がどれだけ得られたかを見る考え方です。「ポスティングが黒字か赤字か」「続けるべきかどうか」を感覚ではなく数字をもとに採算で判断するために確認します。
ここでは、混同されやすい反響率との違いと、費用対効果の具体的な判断方法を解説します。
費用対効果と反響率の違い
反響率と費用対効果は、確認する対象が異なります。反響率は「配布したチラシにどれだけ反応があったか」、費用対効果は「かけた費用に対してどれだけ成果が得られたか」を確認するものです。
反響率とは、配布枚数に対してどれだけの反応(来店や問い合わせ)があったかを示す割合です。例えば5,000枚配布して15件の反応があれば、反響率は0.3%となります。
一方、費用対効果は、かけた費用に対してどれだけの売上や利益が得られたかを示す割合です。
そのため、反響率が低くても、1件あたりの粗利が大きければ費用対効果は良くなることがあります。反対に、反響率が高くてもコストが大きければ、利益がほとんど残らないこともあります。
ポスティングの成果を判断するときは、反響率と費用対効果を、セットで確認しましょう。
反響率の平均や計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
チラシの反響率の平均は?計算方法や採算が合うかの確認方法を解説
費用対効果は実際のCPAと許容CPAで判断する
費用対効果を判断するために欠かせないのが、「CPA(顧客獲得単価)」という考え方です。CPAには、大きく分けて「実際のCPA」と「許容CPA」の2つがあります。
実際のCPAは、新規顧客1人の獲得に実際にかかった費用のことです。一方の許容CPAは、その顧客の獲得に使ってよい費用の上限を指します。この2つを比べることで、「今のポスティングにかけている費用が見合っているかどうか」がわかります。
例えば、総コスト3万円で3件の来店があった場合、実際のCPAは1万円です。この1万円が、粗利などから設定した許容CPA以内であれば利益が残り、超えていれば目標とする利益を確保できていないということになります。実際のCPAが許容CPAを超えている場合は、反響率・成約率・総コストなどを見直す必要があります。
次の章では、この実際のCPAを具体的にどう計算するかを見ていきましょう。
ポスティングの費用対効果を計算する方法
費用対効果を数字で把握するには、まず総コストと成果(獲得件数)を正しく集計することが前提になります。指標の定義を覚えるだけでなく、自社の数字を当てはめて実際に計算できるようになることが目的です。
ここでは、CPA・ROAS・ROIという3つの指標について、それぞれの役割と計算方法を紹介します。
総コストとチラシ経由の成果を合算・区別する
費用対効果を正しく計算するには、ポスティングにかかった費用をすべて合算し、チラシ経由の成果を区別して集計します。
総コストは、デザイン費・印刷費・配布費をすべて合算して算出します。例えば印刷費だけで計算し、配布費を含め忘れると、CPAは実際より低く算出され、正しく採算を判断できません。
成果を数えるときは、問い合わせなどの「反響」と、実際の来店・契約につながった「獲得件数」を分けて記録しておくことも大切です。問い合わせが15件あっても、そのうち来店や契約につながったのが3件であれば、CPAの計算に使う獲得件数は3件です。
また、反響のうち何件が獲得につながったかを示す「成約率」も確認しておきましょう。この例では、「3件÷15件×100=20%」が成約率です。成約率を把握しておくと、目標とする獲得件数から必要な反響数を逆算できます。
以降では、総コスト3万円、5,000枚配布、反響15件、獲得3件のケースを例に計算していきます。
CPA|1件の顧客獲得にかかった費用
CPA(Cost Per Acquisition)は、「総コスト ÷ 獲得件数」で計算します。例えば、総コスト3万円をかけて3件の来店につながった場合、CPAは「3万円 ÷ 3件 = 1万円」です。
つまり、新規顧客1人を獲得するために1万円かかっていることになります。
仮に同じ3万円をかけても、来店が2件にとどまれば、CPAは1万5,000円まで上がります。獲得件数が少しでも変わるだけで、CPAは大きく動くのです。このCPAが、後述する許容CPAの範囲内に収まっているかどうかが、採算の判断基準になります。
ROAS・ROI|売上と利益から確認する補助指標
CPAが顧客1人を獲得するためのコストを見る指標なのに対し、ROAS(Return on Ad Spend)は売上、ROI(Return on Investment)は利益の観点から費用対効果を確認する指標です。
それぞれ、以下の式で計算します。
- ROAS:チラシ経由の売上 ÷ ポスティング費用 × 100
- ROI:(チラシ経由の粗利 − ポスティング費用)÷ ポスティング費用 × 100
例えば、前述の通り、総コストが3万円だった場合、1件あたりの売上が2万円、粗利が1万円だったとします。3件獲得した場合、チラシ経由の売上は6万円、粗利は3万円です。
ROASは「6万円÷3万円×100=200%」、ROIは「(3万円−3万円)÷3万円×100=0%」となります。
このように、ROASが200%でも、粗利からポスティング費用を差し引くと利益が残っていない場合があります。
売上だけで判断せず、CPAやROIもあわせて確認することが大切です。
ポスティングの損益分岐点と許容CPAを計算する方法
自社が黒字か赤字かを判断するには、「何件獲得すればポスティング費用を回収できるか」と「新規顧客1人の獲得にいくらまで使えるか」を確認します。
ここでは、必要な獲得件数を求める方法と、業態別の許容CPAの決め方を紹介します。この考え方を身につけておけば、次にチラシを配布するときの目標設定にも役立ちます。
必要な獲得件数・目標反響率・配布枚数を逆算する
ポスティングの損益分岐点を把握するには、まず費用を回収するために必要な獲得件数を求めます。 必要な獲得件数は、「ポスティングの総コスト ÷ 1件あたりの粗利」で計算できます。
例えば総コスト3万円、1件あたりの粗利が1万円の場合、必要な獲得件数は3件です。3件の来店があれば粗利が3万円となり、ポスティング費用を回収できます。ここが損益分岐点です。
次に、必要獲得件数から、目標とすべき反響率を逆算します。例えば、問い合わせから来店・契約につながる成約率が20%の場合、3件獲得するために必要な反響件数は「3件 ÷ 20% = 15件」です。
5,000枚配布する場合、目標反響率は「15件 ÷ 5,000枚 × 100 = 0.3%」となります。 反対に、目標反響率を0.3%とした場合、15件の反響を得るために必要な配布枚数は「15件 ÷ 0.003 = 5,000枚」と試算できます。
ただし、配布枚数を増やすと印刷費や配布費も変わります。必要枚数を計算したあとは、実際の見積金額をもとに、あらためて採算を確認しておきましょう。
単発型は粗利、リピート型は粗利LTVから許容CPAを決める
許容CPAの設定方法は、単発・低頻度のビジネスか、リピートビジネスかによって異なります。単発・低頻度のビジネスでは1成約あたりの粗利、リピートが見込めるビジネスでは粗利LTVを基準に設定します。
不動産やリフォームのような単発・低頻度ビジネスの場合、まず「客単価 × 粗利率」で1成約あたりの粗利を求めます。そのうえで、粗利から確保したい利益や必要経費を差し引いた金額を許容CPAとして設定します。
例えば客単価2万円、粗利率50%の場合、1成約あたりの粗利は1万円です。ここから2,000円を利益として残したい場合、許容CPAは8,000円となります。
美容室や整体院、学習塾のようなリピートビジネスの場合は、1回あたりの粗利ではなく粗利LTVを基準にします。LTV(Life Time Value)とは顧客生涯価値のことで、1人の顧客が生涯にわたってもたらしてくれる利益の総額です。この記事では、売上ではなく粗利ベースの「粗利LTV」で考えます。
例えば、1回あたりの粗利が3,000円で月2回、1年間利用する場合、粗利LTVは「3,000円×2回×12か月=7万2,000円」です。
ここから確保したい利益や顧客維持にかかる費用を差し引き、自社の収益構造に応じて許容CPAを設定しましょう。
数値別にポスティングの費用対効果を改善する
費用対効果が悪いからといって、ポスティングそのものが向いていないとは限りません。大切なのは、どの数値に問題があるかを特定することです。原因を特定しないまま闇雲に改善を試みても、何が結果を変えたのかがわからなくなってしまいます。
ここでは、数値ごとに確認するポイントと改善方法を紹介します。
必要な数値を計測できていない場合は仕組みを整える
反響数や獲得件数を計測できていなければ、CPAを正しく計算できません。QRコードや専用クーポン、専用電話番号などを使い、反響を判別できる仕組みをあらかじめ整えておきましょう。
どの方法を使うかによって、集計のしやすさや精度も変わってきます。複数の手段を組み合わせておくと、あとから原因を特定しやすくなります。
反響率が低い場合はエリアとチラシを見直す
反響率が低い場合、ターゲットと配布エリアのズレや、チラシの訴求内容などを確認します。
ターゲット層が多いエリアへ配布できているか、チラシを見た人が「誰向けの何のサービスか」「次に何をすればよいのか」を理解できる内容になっているかを見直しましょう。
エリアやチラシの内容を見直すだけで、反響率が改善するケースは少なくありません。反響率を高める具体的な方法については、以下の記事もあわせてご覧ください。
チラシの反響率の平均は?計算方法や採算が合うかの確認方法を解説
成約率が低い場合は問い合わせ後の対応を見直す
問い合わせはあるのに来店や契約につながらない場合は、問い合わせ後の導線に課題がある可能性があります。
たとえば、「電話がつながりにくい」「フォームが入力しにくい」「返信が遅い」「予約可能な日時が少ない」といった問題がないか確認してみましょう。
また、チラシに記載した内容と、問い合わせ時や来店時の案内にずれがないかも重要な確認ポイントです。割引だけを目的とした問い合わせが多い場合は、特典の内容や対象条件を見直す必要があるかもしれません。
反響率だけを見ていてもわからない「問い合わせ後の離脱」を確認することで、どこを改善すべきかが見えてきます。
反響率・成約率に問題がない場合は総コストを見直す
反響率も成約率もそれほど悪くないのに、CPAが許容CPAを超えている場合は、ポスティングの総コストを確認します。
デザイン費・印刷費・配布費をそれぞれ分けて確認し、削減できる部分がないか見てみましょう。
業者を比較するときも、配布単価だけでなく、制作から配布までの総額で見ることが大切です。
継続的にポスティングを行う場合、総コストを抑える選択肢として、複数の店舗で費用を分担する「シェアチラシ」のようなサービスも選択肢のひとつです。4社で費用を分担する仕組みのため、1社あたりの負担を抑えながら、デザインから配布までを一括で依頼できます。
改善後の数値から継続・再テスト・中止を判断する
改善に取り組んだあとは、CPAや利益の変化を確認し、次の行動を判断します。以下の3つを目安に整理してみましょう。
| 判断 | 該当する状態 | 次の行動 |
| 継続 | CPAが許容CPA以内で利益が残る | 成果の出た条件を継続する |
| 再テスト | 問題のある数値と改善箇所がわかる | 条件を1つ変えて比較する |
| 中止・変更 | 改善後も許容CPAを超え、粗利LTVを考慮しても回収できない | 配布方法や別の施策を検討する |
再テストするときは、エリア・訴求内容・特典など、一度に変更する条件を1つに絞り、変更前後の数値を比較します。
改善を重ねても許容CPAを超え、粗利LTVを考慮しても費用を回収できない場合は、無理にポスティングを続けるのではなく、配布方法を見直すか、別の集客施策と組み合わせることも検討しましょう。
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ポスティングの費用対効果は数字を確認してから改善しよう
ポスティングの費用対効果は、実際のCPAと、粗利や粗利LTVから設定した許容CPAを比較して判断します。業界の平均だけで判断するのではなく、自社の数字で確認することが大切です。
総コストとチラシ経由の獲得件数からCPAを算出し、損益分岐点から必要な反響率や配布枚数を逆算しておけば、次に配布する際の目安にもなります。CPAが許容範囲内であれば継続し、超えている場合は、計測方法・反響率・成約率・総コストの順に原因を確認し、問題のある箇所を改善しましょう。
改善を試みても採算が合わない場合は、配布方法や他の施策の見直しも検討する価値があります。
継続配布の総コストを抑えたい場合は、複数店舗で費用を分担できるシェアチラシも、比較検討先のひとつになるでしょう。
まずは自社の総コストと獲得件数を整理し、現在のCPAを計算するところから始めてみてください。